こども園の補助金増額

認定こども園>は、 親が働いているかどうかに関わらず、0~5歳児が利用できる施設で、在園中に親が働き始めても子どもは同じ園に通い続けられ、幼児教育の充実した幼稚園と、長時間預かる保育所の利点を併せ持つ施設として期待されて2006年に導入されました。

現在、認定こども園文部科学省厚生労働省から補助を受けてますが、来年度からの子ども・子育て支援新制度では内閣府所管の補助に一本化され、仕組みも変わることになっています。

しかし、現在、幼保連携型認定こども園では幼稚園と保育所部分にそれぞれ施設長が必要とされているため、施設長の給与補助は2人分出ていますが、新しい制度では、これが一本化され1人分に減ってしまいます。また、園児が多ければ事務の人件費などを効率化できるとして、園児1人あたりの単価を大規模な園ほど低く設定しています。

結果として、大規模なこども園を中心に減収が見込まれる施設が相次ぎ、認定を返上して保育所や幼稚園に戻ろうとする動きが表面化してきています。こうした動きに対して、内閣府など関係3府省は、補助金を増やす方針を明らかにしましています。具体的には、施設長の2人分の給与補助を継続する経過措置や、定員規模に応じた加算方法の見直し等で、大規模な園の補助を拡充する方針を示しています。

しかしながら、これを実行するための予算の確保が出来ておらず、来年度の予算編成の中で追加財源を確保できるかどうかが焦点となっています。女性管理職を増やすためにも、女性の働き易い環境を作ることは重要な課題でもありますから、予算が確保できることを期待したいと思っています。

藤木

女性の管理職登用について

10月20日に、第2次安倍内閣の看板閣僚だった小渕優子経産相松島みどり法相が同時に辞任しました。「女性の活躍」を掲げる安倍晋三首相にとっては、最大の危機とも言える痛手となっている様です。期待されていた女性閣僚が相次いで辞任したことは残念なことではありますが、「女性の活躍」という事に関しては、あまり影響はない様に思われます。

21日には、トヨタ自動車系部品大手のアイシン精機が、課長級以上の女性管理職の人数を、2020年に現在の3倍に増やす目標を設ける方針を固めたという報道がありました。同様の目標を豊田自動織機も決めたほか、トヨタデンソーもすでに公表しており、「20年に3倍」の目標がトヨタグループ内に広がっています。

アイシン精機は、いま22人いる課長級以上の女性管理職を約60人に増やし、豊田自動織機も25人を約75人に増やす方針です。両社とも、出産後も女性社員が仕事を続けやすくするなどの対策の検討を進めているとのことです。

こうした事は、安倍政権が17日に、女性の社会での活躍を支援するため、従業員300人超の企業や官公庁に、女性管理職数といった数値目標の設定を義務づける「女性活躍推進法案」を閣議決定したことが背景にある様です。

こうした数値目標を設定することに抵抗感のある企業もありますが、日本を代表するトヨタグループの対応に他の企業も追従していくのではと思われます。

数値目標を設定すると同時に、女性社員が仕事を続けやすくなる様な対策を検討し、実施していくことを期待したいと思います。

藤木

介護現場の待遇:薄給

特別養護老人ホームや障害者施設、保育園などの施設の介護現場では低い給料への不満が広がっています。社会福祉法人に勤める方の中には、月に7、8回の夜勤をしても月給は20万円ほどにしかならなず、いくらがんばっても現場の努力は評価されず、給料もほとんど上がらないと嘆く人もいます。

厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、福祉施設で働く人の13年の平均給料は月に約21万9千円、訪問介護で働くホームヘルパーは約21万8千円となっています。一方、看護師は約32万8千円と大きく上回っていて、栄養士も約23万4千円と上回っています。

政府はこれまでも、介護職員らの給料の改善策を打ち出してきました。民主党政権時代の09年には、厚労省は介護職員1人あたり月に1万5千円を事業所に補助する「介護職員処遇改善交付金」の制度を設けました。そして、翌年の調査で、9割近い事業所が制度を使い、これらの事業所では給料が月に約1万5千円上がったという結果をまとめた。

しかし、現状は最初に述べた通りで給与改善の制度は思うような結果を出していないようです。なぜかというと、福祉施設運営者の多くが「交付金が恒久的に出続けることはないだろう」と考えて、ボーナスなどの一時金で出ることが多く、ベースアップ等の本質的な待遇改善にはつながっていないためです。

事実、厚労省の調査でも、交付金は「定期昇給」「各種手当」「ボーナス」に使われることが多く、「賃金水準の引き上げ」にあてた事業所は約15%にとどまってしまい、福祉施設で働く人の給料水準はあまり上がらず、月21万円台が続いているとなっています。

こうした事と景気が持ち直してほかの仕事の給料が上がっている事から、介護の仕事から離れる出てきていて、介護職員らが入る労働組合の組合員数が今年春の約6万8千人から半年で千人ほど減ってしまっています。

消費税アップの理由として社会保障に使う目的税という事で多くの国民が納得したと思いますが、これでは先行きが不安になってしまいます。来年度には、介護保険から支払われる介護報酬について3年に1度の改定がありますが、その中で、保険料や税金という負担を抑えながら、どう介護サービスを充実させ、介護職員の待遇を改善するかがテーマとなっています。

介護職員の方々の頑張りや努力が報われる様になり、介護の仕事をする人が増えるようになることを期待したいと思います。

藤木

日本はマーケティング後進国?

 マーケティングの世界大会が都内で開かれました。大会のテーマは「21世紀型マーケティング」でしたが、議論はたびたび「日本はマーケティング後進国なのか」という話題に及んだそうです。

マーケティングとは、日本では「市場調査」と置き換えられ、多くの企業では広告・宣伝、販売促進などの業務を表していることが多いのですが、それでは十分ではないようです。その道の権威といわれる、米ノースウエスタン大学のコトラー氏の定義では「企業の業績向上と顧客の満足の創造によって、人々の生活の改善をめざす学問」となっていて、日本で考えられているよりも間口は広く、奥行きもあります。

後進国」と言われても、日本の多くの大学にはマーケティングの講座がありますし、書店には多くの関連書が並んでいます。

なぜ「後進国」なのだろうかと日本マーケティング協会や専門家に質問した結果、「日本の技術は優秀だったため1990年ぐらいまでは高機能、高性能だけで商品が売れた。そのためマーケティングは軽視され、いまだにその成功体験から抜け出せていない。」そして、「もう機能や性能だけで差別化するのは難しい。顧客が何を望んでいるかを踏まえ、新しい生活様式、感動も提案しなければいけない。でも、顧客視点が欠けていたからできなかった」という分析結果が出たようです。

しかし、最近の炊飯器、洗濯機、エアコン等の白物家電を見ると、「よりおいしいごはんを」、「高齢者にも扱いやすい重さに」、「もっと使いやすい構造に」、「より快適に」といったお客様目線考えた製品が増えており、中国からの観光客が免税店で炊飯器を何台も買い込んだりして、売り上げを伸ばしている様に思います。このことを考えると決して日本は後進国ではなく、これからなのだと思います。

藤木

ワークスタイルとライフプラン

 【週休4日「ゆるい就職」という選択】という提言が朝日新聞に載っていました。ワークスタイルの新しい選択肢をつくることに狙いがあるとのことで、学校を卒業してすぐに就職し、仕事一辺倒になることが、すべての若者にとって望ましいのかという疑問があり、20代くらいまでは寄り道や回り道をして仕事以外の経験もできる多様なスタイルが当たり前になってもいいのではというのが提言の狙いの様です。

 確かに、一度就職したけれども、ただ仕事をこなすだけで『毎日が消化試合のようだった』という人もいて、それでは人間的な成長を得ることは難しく、新卒採用で入社した人の3分の1が3年以内に辞めてしまうという話もあります。こういった意味で寄り道、回り道をすることも人間的な成長を得るためには必要なことかもしれません。

 この提言では、週3日勤務で月収15万円といった仕事を、人材紹介会社と協力して提案していて、雇用形態は派遣や契約社員などで、採用先の業種はITや広告などとなっており、10月末からマッチングを始める予定でいます。

 一方、企業の採用では、新卒者のほうが正社員になりやすいのが現状ですし、一定以上の労働時間がないと社会保険に加入できないという問題もあります。非正規を選ぶのはリスクが高いのも現実ですのです。提言では、そうしたリスクを理解し覚悟した上で来てもらいたいとしており、年齢を重ねるほどリスクが高くなるため、対象年齢は25歳くらいまでと上限を決めているようです。

 ワークスタイルは、個人個人で違っていて良いことで、仕事は生活するために必要最低限にしてで仕事以外はやりたいことに十分な時間を使うというワークスタイルも年代を問わずあると思います。それぞれの人が自分のやりたい事やなりたい将来の姿を思い描いて、それを実現するためにどうするかというライフプランを考えた上で、その中で今はこういうワークスタイルでいくと決めるのが良いのではと思います。

藤木

年金制度: 確定拠出年金(DC)拡充へ

 厚生労働省は、先に公的年金について、このままでは今の年金額は現役手取り比62・7%ですが、高い経済成長が続いたとしても30年後には50%ぎりぎりに。低成長だと5割を割ることになるという検証結果を発表しました。

これを背景に、公的年金を補うため、企業年金などの「私的年金」を利用しやすくし、加入者を増やすといった改革に厚生労働省が乗り出しました。

改革する私的年金は、会社員が入る厚生年金に企業や社員が掛け金を出して上乗せする「企業年金」と、自営業者らを対象とした「個人型確定拠出年金」(個人型DC)などを対象にしています。

企業年金のうち、かつて主流だった「厚生年金基金」は財政難で解散が相次いでいます。これは、財政悪化した基金を解散させる法改正もあり、8月時点で全508基金のうち258基金が解散方針を決めているとのことです。

その代わりとして、社員が運用方法を決め、その結果で給付額が変わる「確定拠出年金」(DC)を導入する企業が増えていて、加入者は2013年度末までの10年間で6・6倍増え、464万人となっています。

これに伴いDCに関して、普通のDCは労使で拠出額を決め、社員が運用商品を選ぶ方式ですが、中小企業向けに「簡易型DC制度」創設して、拠出額を固定し、運用商品も限定し、手続きを簡素化することで企業の負担を軽くし、DC導入を促進させようとしています。また、既にDCを導入済みの企業に関しても、社員の自己選択でより多く拠出できるルールを検討しています。さらには、加入の対象者を専業主婦や公務員にも拡大することも考えています。

公的年金の財政は非常に厳しく、公的年金私的年金を組み合わせることで、老後の所得保障を目指していくのは仕方がないこととは思いますが、公的年金の将来像を示してもらわないと、私的年金をどのくらい準備しなければという計画すら立てられませんので、まずは公的年金制度をしっかりとしたものにしてもらいたいと思っています。

藤木

高学歴女性の就労について

    経済協力開発機構OECD)の教育に関する調査で、日本の高学歴女性の約3割は就労しておらず、安倍政権が「女性の活躍」を掲げていろいろと提言していますが、加盟34カ国中最低レベルであることが分かりました。

日本では、大学以上の学位をもつ高学歴の成人(25~64歳)の割合は26%で、34歳までの若年世代では35%となっており、OECD平均(30%)を上回っています。しかし、高学歴男性の92%が就労しているのに対し、女性の就労は69%にとどまり、OECD平均である80%を下回っています。まさに、女性の能力が社会で十分生かされていないという日本の現状が見えてきます。

高学歴女性の就業率が高い国には、スウェーデンノルウェーなど、子育て支援が充実している北欧が目立っており、OECDのアンドレア・シュライヒャー教育局長から、能力の高い女性が就労するためには、3歳未満の保育を拡大することが必要だと指摘されています。現に、日本でも2000年に比べて3歳児保育を受けた割合が上昇したのに連動するように、高等教育を受けた若年の就業率は5ポイント上昇したということもあり、子育て支援のさらなる充実が必要と思われます。

また、子育て後に再就職しようとしても単純なパートなどしか選べず、能力に見合う仕事がないことも、高学歴女性という資源が生かされていない原因となっていると思われます。前職との継続性を考えた再就職が出来るようなことを考えていく必要があると思います。

藤木