介護現場の待遇:薄給

特別養護老人ホームや障害者施設、保育園などの施設の介護現場では低い給料への不満が広がっています。社会福祉法人に勤める方の中には、月に7、8回の夜勤をしても月給は20万円ほどにしかならなず、いくらがんばっても現場の努力は評価されず、給料もほとんど上がらないと嘆く人もいます。

厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、福祉施設で働く人の13年の平均給料は月に約21万9千円、訪問介護で働くホームヘルパーは約21万8千円となっています。一方、看護師は約32万8千円と大きく上回っていて、栄養士も約23万4千円と上回っています。

政府はこれまでも、介護職員らの給料の改善策を打ち出してきました。民主党政権時代の09年には、厚労省は介護職員1人あたり月に1万5千円を事業所に補助する「介護職員処遇改善交付金」の制度を設けました。そして、翌年の調査で、9割近い事業所が制度を使い、これらの事業所では給料が月に約1万5千円上がったという結果をまとめた。

しかし、現状は最初に述べた通りで給与改善の制度は思うような結果を出していないようです。なぜかというと、福祉施設運営者の多くが「交付金が恒久的に出続けることはないだろう」と考えて、ボーナスなどの一時金で出ることが多く、ベースアップ等の本質的な待遇改善にはつながっていないためです。

事実、厚労省の調査でも、交付金は「定期昇給」「各種手当」「ボーナス」に使われることが多く、「賃金水準の引き上げ」にあてた事業所は約15%にとどまってしまい、福祉施設で働く人の給料水準はあまり上がらず、月21万円台が続いているとなっています。

こうした事と景気が持ち直してほかの仕事の給料が上がっている事から、介護の仕事から離れる出てきていて、介護職員らが入る労働組合の組合員数が今年春の約6万8千人から半年で千人ほど減ってしまっています。

消費税アップの理由として社会保障に使う目的税という事で多くの国民が納得したと思いますが、これでは先行きが不安になってしまいます。来年度には、介護保険から支払われる介護報酬について3年に1度の改定がありますが、その中で、保険料や税金という負担を抑えながら、どう介護サービスを充実させ、介護職員の待遇を改善するかがテーマとなっています。

介護職員の方々の頑張りや努力が報われる様になり、介護の仕事をする人が増えるようになることを期待したいと思います。

藤木