年金制度: 確定拠出年金(DC)拡充へ

 厚生労働省は、先に公的年金について、このままでは今の年金額は現役手取り比62・7%ですが、高い経済成長が続いたとしても30年後には50%ぎりぎりに。低成長だと5割を割ることになるという検証結果を発表しました。

これを背景に、公的年金を補うため、企業年金などの「私的年金」を利用しやすくし、加入者を増やすといった改革に厚生労働省が乗り出しました。

改革する私的年金は、会社員が入る厚生年金に企業や社員が掛け金を出して上乗せする「企業年金」と、自営業者らを対象とした「個人型確定拠出年金」(個人型DC)などを対象にしています。

企業年金のうち、かつて主流だった「厚生年金基金」は財政難で解散が相次いでいます。これは、財政悪化した基金を解散させる法改正もあり、8月時点で全508基金のうち258基金が解散方針を決めているとのことです。

その代わりとして、社員が運用方法を決め、その結果で給付額が変わる「確定拠出年金」(DC)を導入する企業が増えていて、加入者は2013年度末までの10年間で6・6倍増え、464万人となっています。

これに伴いDCに関して、普通のDCは労使で拠出額を決め、社員が運用商品を選ぶ方式ですが、中小企業向けに「簡易型DC制度」創設して、拠出額を固定し、運用商品も限定し、手続きを簡素化することで企業の負担を軽くし、DC導入を促進させようとしています。また、既にDCを導入済みの企業に関しても、社員の自己選択でより多く拠出できるルールを検討しています。さらには、加入の対象者を専業主婦や公務員にも拡大することも考えています。

公的年金の財政は非常に厳しく、公的年金私的年金を組み合わせることで、老後の所得保障を目指していくのは仕方がないこととは思いますが、公的年金の将来像を示してもらわないと、私的年金をどのくらい準備しなければという計画すら立てられませんので、まずは公的年金制度をしっかりとしたものにしてもらいたいと思っています。

藤木