「残業代ゼロ」について

政府の産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)で、労働規制を緩和し、法律で定める時間より働いても「残業代ゼロ」になる働き方を一般社員に広げる議論を始めたという報道がありました。

今回の提案では、年収が1千万円以上など高収入の社員のほか、労使合意があれば一般社員も「残業代ゼロ」の対象とするとしていますが、労働者本人の同意が必要と言っても、使用者の立場が強く、弱い立場にある本人に対し同意が強制される心配があります。その結果として長時間労働の拡大につながり、うつ病など「心の病」にかかる人が増えることにもなりかねません。

一方、「残業代ゼロ」の前提として、労働時間ではなく成果をベースに賃金を支払うべきという提案もありますが、成果、成果を上げるための労力に見合う賃金をどう決めるかが大きな課題で、このまま進んでしまうと賃金だけが低く抑えられてしまい、労働者の生涯賃金も抑えられることになってしまうことが心配されます。

藤木