大手企業の決算発表をみて

 自動車や電機など大手製造業の14年3月期決算が新聞紙上で発表され、おおむね各社とも好調で、自動車では8社中6社の営業利益が過去最高となり、リーマン・ショック後の不振が長引いていた電機7社も、ソニーを除いてパナソニック富士通、シャープ等がそろって純損益黒字に転換しました。こうした業績の回復を受けて、企業は再び研究や開発に力を入れ始めました。これは、円安に頼らずに将来のもうけにつながる種をまき、育てるためと思われ、歓迎したいことと思います。

一方、輸出や投資の稼ぎで海外からお金が入ってくる経常黒字が減り、2013年度は初めて1兆円を割りました。これは、日本メーカーが海外の生産を増やし、円安でも日本からの輸出が伸びにくくなっているためです。今後国内生産を増やしてまで輸出しようという企業は少なく、「過去3年ほどの円高で苦しみ、みな海外に出て行った。今さら引き返すわけにはいかない」という企業も多く、この先、国内製造業における雇用は増えないことになりそうです。

日本で大量に生産した製品を海外に輸出して安く売ることで、企業の収益をあげ雇用の増大や賃上げにつなげるという昔の『輸出モデル』はもう成り立たなくなってきており、日本は大企業がもうかっても、国内の雇用増や賃上げにはつながりにくい構造になって来ているようです。景気の急回復で建設や小売りなどの現場で人手不足になっている状況もあり、労働力のシフトも考える必要もありますし、企業の収益を雇用増大につなげる新しいモデルを創出する必要もあると思います。また、法人税率を下げるなどして、海外から日本への投資や企業を呼び込むことも考える必要がある様に思われます。

 

藤木