「残業代ゼロ」について(その2)

 働いた時間と関係なく成果で賃金が決まる新制度について、政府は対象者を「少なくとも年収1千万円以上」の高年収者に限定することで導入する方針を決めました。新制度は、政府の成長戦略に盛り込まれ、これに従って、厚労労働省は、来年の通常国会での労働基準法改正をめざして、年内をめどに審議会での議論を進める予定です。

「残業代ゼロ」で長時間労働を強いられる恐れがある働き方が、管理職以外にも導入されることが固まり、「働き過ぎを助長する」のではとの不安が広がっています。厚生労働相は、「少なくとも対象者が年収1千万円を割り込むことはなくなった」と述べ、「職務範囲が明確」「高度な職業能力を持つ」との条件もつけるとのことです。しかし、経済界や経済産業省が「全労働者の10%は適用を受けられる制度に」として年収を問わず働き手を幅広く対象にするよう主張してきた経緯もあり、時間がたつにつれ、制度の対象がより年収の低い働き手に広がる、との心配もあります

たとえ年収1千万円を超えて「残業代ゼロ」の新制度対象者になったとしても、長時間労働を強いられて精神的、肉体的な弊害が出ることは決してあってはならないことと思います。新制度の対象者に対しても労働時間を管理し長時間労働を制限するような仕組みを労使で考えて導入することで、長時間労働による精神的、肉体的な弊害が出ないようにすることも必要に思われます。

藤木