賃上げと最低賃金

 安倍政権の主導で行われた今年の春闘で大手企業の正社員は賃上げが進みましたが、労働組合に加盟していない非正社員にとっては、最低賃金が生活の底上げにつながります。安倍政権は2年続けて成長戦略最低賃金を上げる方針を明記しており、田村厚生労働相は会見で「昨年並みか、それより良い成果を」と、全国平均15円増だった昨年以上の増額をめざす方針を示しています。

企業の人手不足の目安となる有効求人倍率は5月に1・09倍と約22年ぶりの水準に達していて、最低賃金の大幅引き上げの環境が整ってきたとの判断での発言と思われます。一方、最低賃金の最も低い地方の経営者は「地方にアベノミクスの実感はまだない。去年のような急激な引き上げは厳しい」と話していますし、中小企業の経営者も物価高で仕入れ値や燃料代が上がり負担感が増しているとして慎重な態度を示しています。

最低賃金は、これより低いお金で働かせると違法になる金額で、最低の「664円」の県は、宮崎、大分、島根、高知、佐賀、長崎、熊本、沖縄等で、最も高い869円の東京とは205円、全国平均の764円とも100円の開きがあります。最低賃金については「そもそも水準が低すぎる」との指摘もあり、「働くより、生活保護を受けた方がまし」という方もいます。最低限の生活を守るためにも最低賃金を上げることは重要な指標ですので、注目していきたいと思います。

藤木